カンニングペーパー

 古本を開いていたら、細々と書き込んであるノートを縮小コピーした紙片が挟まっていた。おそらく、これはカンニングペーパーとして使われたのだろう。皆、手口は同じである。
 私の友人のK君の話。彼はテストに縮小コピーしたカンニングペーパーを持ち込み、冷や汗を流しながらもなんとか解答用紙に答えを書き終え、安心した為か、机の上にカンニングペーパーを置いたまま突っ伏して寝てしまった。すると、試験監督にトントンと肩を叩かれ、「起きなさい」と声をかけられた。気づけば、カンニングペーパーは机の上に置きっぱなしであり、このまま顔を上げれば、見つかってしまう。彼は咄嗟にそのカンニングペーパーを口の中に入れて、起き上がった。しかし、試験監督はK君の口の中が怪しいことに気がつき、「口の中に何を入れているのだ?」と迫ってきた。彼は、まだ覚醒しきっていない頭でこう考えた、カンニングは確かな証拠がなければ、罰せられることはないと。そして、彼は思い切って口の中のカンニングペーパーを飲み込んだ。そして、無事難局を乗り切ることができたのだった。
 K君はその時のことを振り返って、「いやあ、紙って、喉の通りがものすごく悪いんだよ。ひっかかってなかなか喉を通らなくてねえ」と反省もなく語っていた・・・・・。