残業

 労働基準監督署から是正指導を受け、100万円以上の残業代を支払った企業は1524社、総額は約232億9500万円だそうである。残業代を支払う会社でも、残業代の分、賞与を減らす企業もあるそうで、これでは労働意欲をなくしてしまう。
 しかし、私のような自営業者は毎日が残業のようなもので、どこまで「残」でどこからが「始」かも不明なほどである。眠たい時はあるが、意外と苦にはならない。私はサラリーマンも経験したが、その時は残業が嫌で嫌で仕方がなかった。この差は一体何なのだろう。
 現在、私は自分が選んだ古書店という仕事をしているわけだが、ルーティンワークでさえも、実はエキサイティングしている。エキサイティングな仕事は苦にならない。しかし、この「エキサイティング」は、いつも生活があぶないという、負のエキサイティングであるかも知れず、いわば、飢え死にしないために、お尻に火がついている状態であるのかも知れない。
 どちらにせよ、エキサイティングすることは、いくら時間を費やしても苦にならないものであり、逆にいえば、つまらない仕事は、常に苦がつきまとうのである。これからは、自分がエキサイティングできる事柄を探して、それを職業にするしか残業の苦渋から開放される道はないのだろう。