何となく落ち着かない・・・

 今現在、私は細々と生きているわけであるが、過去を振り返り、それを意識的に手繰り寄せると、意外と多くの時代の変わり目に立ち会ってきたのだと思う。あえて意識的と言ったが、時代の潮流というものは、その直中にいるときは、何も感じないものなのであり、振り返ってみて、はじめて気が付くという類のものなのである。したがって直中にいる時、そして、さらには今から先、未来のことを感じ、予見することができるのは、鋭敏な感性を持った芸術家などの限られた人達でしかない。私は平凡な人間であるから、思い返すことしかできない。
 そして、その変わり目を思い出すと、私が生きてきた短い時間の中において、東西冷戦の終結、バブルの崩壊、失われた十年を経て、IT革命と言われたインターネットの普及など、実はめまぐるしく変化してきたのである。少し前までは、パソコンを使って古本を販売することなど、発想自体がなかったのであり、私がこのようにインターネットを使って古本屋を営業しているのも、現在はあたりまえのように行っているが、十年前の私がそれを知れば腰を抜かすであろう。
 先に述べたように、私は平凡な人間であり、これから先を予見する力はないが、最近また、大きな変化が起こっているような気がしてならないのだ。それは商売に関係があることなのかも知れないし、世界情勢のことなのかも知れないし、その両方に関係することなのかも知れない。何となく肌で感じるだけで、それが具体的にどのようなことで、どのような方向へ行くのかまでは私に知る術はない。ただ、何となくそんな気がしてならないのであり、何となく落ち着かないのである。それは師走だからというわけでもあるまい。