帰れない

 昨日は、遠方で呑んでいた為、案の定終電車を逃してしまった。到底歩ける距離ではなく、また、タクシーで帰るにしても距離がありすぎた。幸い、ビジネスホテルがあったので、そこで一泊しようかと思ったのだが、もう一人、帰れなくなった人間がいて、ビジネスホテルに泊まるお金がない、と言い出した。自分ひとりホテルに泊まるわけにはいかない。これはもう一蓮托生、お付き合いで野宿でもするかと覚悟を決めた。しかし、街を歩いていると、漫画喫茶を数件発見した。一昔前までは考えられなかった料金で、五時間で千百円という料金である。これなら、とばかりに二人でそこへ入ったものの、さすがは忘年会シーズン、一件目は満席で、二件目でようやく入ることができた。
 イスがリクライニングシートになっていて、そこで寝ることができるわけだが、どうもあまり眠ることができず、朝を迎えてしまった。始発に近い電車で帰って、直ぐに梱包と発送にとりかかったのだった。
 今日の夜も呑みがあり、また、帰れなくなるのかな、と思うと、急に布団が恋しくなって、いや、今日こそは終電車で帰ろうと心に誓ったのだった。