男のロマン

 男はわけのわからぬ情熱に駆られる時がある。それは飽くなき未知への挑戦であり、自分自身との闘いでもある。それに全人生を賭け、時には女子供、家族を犠牲にすることさえある。それが男のロマンだからだ。
 今日、私は冷蔵庫を開けると、賞味期限から一週間ほど経過している牛乳を発見した。賞味期限とは、そもそも美味しくいただける期間のことであり、期限切れになったとしてもそれで直ぐに腐敗するというわけでもないという。それでは、本当にこの牛乳が身体に異常なく摂取できる期間とは、どのくらいの期間なのであろう。私の中に、熱い探求心が芽生えた。賞味期限切れから一週間、その期間牛乳は冷蔵されており、意外と安全に摂取することができるのかも知れず、捨てるにはもったいない。
 飲んでみるしかない。私の身体を犠牲にしてもこれは実験してみるしかない。もし、これで私が食あたりにでもなれば、しましまブックスは営業が止まってしまい、収入が途絶えて家族は路頭に迷うことになる。それでも私は飲むしかないのだ。飲んで真理を探究するしかないのだ。女どもよ、私を止めないでくれ。おまえ達には、この私の思いはわかるまい。
 一口、二口、牛乳は口腔から食道を通り、胃へと流れて行く。味覚は通常の状態と変わらない。これはイケる。そう確信した私は、一気に200mlほどの牛乳を流し込み、濁流の如く牛乳は胃へと流れる。胃から腸へ流れて身体の内部へと栄養素が吸収される・・・・・。
 牛乳を摂取してから数時間が経過した。今現在、身体に異常は見られない。私は自分との闘いに勝利したのだ。牛乳を見事安全に飲むことができたのだ。捨てなくて本当に良かった。万歳!

※普通の方々は絶対にマネはしないでくださいね。