世界同時株安に思う

 二月の下旬に発生した世界同時株安。先日その第二波が日本市場を襲った。注意深く分析した結果、どうやら、しましまブックスのインターネットにおける古本の売上と株価の上下が連動していることがわかった。株価が下がっている時は、それに比例して注文数が減少し、株価が少し戻した時は、これまた比例して、注文数が通常の数まで戻した。単なる偶然かも知れないが、データ上はそのような結果となり、インターネットでの販売は、経済状況にとても敏感で反応しやすいようである。
 経済の専門家やアナリストと呼ばれる方たちの今回の株安に対するコメントは、大方、一時的な調整に過ぎないとのことであった。日本経済のファンダメンタルはしっかりしており、今後は上げに転じるなどの意見もあるほどで、とても楽観的なものばかりが目立った。しかしながら、このようなコメントを信じてはいけない。何故なら、影響力の強いマスメディアで、今回を機に世界恐慌に突入する、という発言が相次いでしまったら、その発言をきっかけに売りが売りを呼び、市場は大変なことになってしまうからである。したがって、楽観的なコメントを出すほかはないのである。仮に、本当に楽観論を信じているのであれば、その評論家はエセに過ぎない。
 今のマネー市場は日本一国だけでは成り立ってはおらず、否応無しに世界の市場と連動している。したがって、世界の状況を見なくては、今後の成り行きを見通すことはできない。現在まで、世界はとんでもないバブルな状況で、マネーが大量に余り過ぎていた。異常な状況であった。この反動は必ず起こり、しかもこの反動が起こった時に、各政府が有効な政策を打ち出せるかといえば、もう各政府ともそのような力は持ち合わせていない。今回の世界同時株安を見れば、明らかである。したがって、まだまだ、株安は続くと見なければならない。転じて、政治を見ても、中東の情勢やアジア、ヨーロッパなど政治的にも混乱して不安定な状況であり、今回の一連の株安は、世界恐慌の幕開けであると私は思っている。
 世界恐慌になった場合、インフレになるのは間違いなく、自分の商売を考えれば、当然キャッシュよりモノ、私の商売の場合は本で持っていた方が有利であり、今からなるべくなら本を放出せずに、抱えておくことが必要なのかも知れない。しかし、不景気になれば本を持っていても、本が売れないことが予測でき、一方では不安な時代だからこそ本を必要とする場合も考えられ、今から予測して対策を練っておかなければならない。しかも、急速なインフレに襲われた場合は、数千冊ある古本の素早い価格改定も必要であり、その対策も考える必要がある。古本といえども、世界の情勢を見つつ、今後の対策を練らねばならないのである。