みんなの幸福

 参議院選挙は与党の歴史的敗北という結果であった。私は政治に関しては門外漢なので、細かいことは専門家に任すとしても、ひとこと言わせてもらえば、年金や大臣の人事、住民税の増税など色々と敗因はあったであろうが、結局は理念先行の政権が現実を見忘れた、あるいは直視しなかった為に支持を失ったのであり、いちばん分厚い人口層である中産階級の疲弊、いわゆる庶民の暮らしを蔑ろにしたということであろう。特に社会的弱者の疲弊と困窮は凄まじく、また、私も含めたロストジェネレーションと呼ばれる、失われた10年の間に社会に出た人々の疲弊も半端ではない。
 政治は理念なくして行うことは不可能であるが、同時に現実を見失っても行うことはできない。理念と現実の微妙なバランスの上に成り立っている。これは、自営業や会社経営にも言えることで、理念なくしては会社の舵取りはできず、現実を見失っても、直ぐに倒産してしまう。これらのバランスをとるということは、容易なことではないが、皆苦労しながら行っているのである。
 このちっぽけな、しましまブックスでさえ、いつも苦悩しながらこのバランスをとって営業している。私が考えることは、私ができる範囲でのみんなの幸福である。私の力が及ぶ範囲というのは極狭い範囲であり、今はお客様と家族としましまブックス関係者の範囲ぐらいでしかないが、如何にすればみんなが幸福になるかを考えて、行動指針をたてている。自分のことだけを考えればもっと楽になるが、そうは行かない。自分のことは後回しにしてでも、みんなの幸福を考えること、これが最低限リーダーの役割であろう。自分だけ幸福になっても何も面白くないではないか。だから常に苦悩しながら、貧乏しながら、しかし明るさを失わず営業しているのである。
 ケチなしましまブックスでさえ、そうであるのだから、一国のリーダーはさらに色々な層にまで気を配って采配を揮わなければならない。みんなの幸福を忘れたところに政治はないのである。政治に限らず、会社組織のリーダーも、今回の選挙結果をきっかけにして、このことをもう一度考え直してほしいのである。