混乱から錯乱へ

 ふと気づくと、米ドルが下落して結構な騒ぎとなっている。これは、ドルが基軸通貨としての価値を失ったことを意味しており、それはまさしく米国経済が崩壊寸前だということであろう。米国は緊急に公定歩合を下げ、まさに非常事態となっている。それにつられて円が高くなっており、円預金から外貨預金へとシフトを移す個人投資家が急増しているという。そんなニュースを見て、私は唸った。何故なら私は、1月1日のこの日記で、「今年はさらに混乱を呈する局面になりそうだ。サブプライムをきっかけとする世界的な金融システム混乱、いや、崩壊といった方がいいかも知れず、昨年のうちに表面化していない損失が一気に出てくるだろう」と書いているからである。
 今回はグローバル・マネー、世界的な金融システムの崩壊を意味しているのであり、経済がグローバルになってしまった現在、そして、米国がつくりあげた金融システムに世界が相乗りしている状況では、超短期的には外貨取引で利益を生むこともできようが、結局はどこへマネーを逃がそうとも一緒だということである。ゴールドにしろ、同じである。今は高値をつけているが、株や通貨で損をすれば、その損を穴埋めするために、大量の売りが出て、結局は下がることになる。マネーを逃がす場所はもはや何処にもないのだ。それにもかかわらず、外貨預金へのシフトチェンジが急増しているということは、まさに錯乱という他はない。手数料だけ損しているようなものである。
 それに私は、昨年の6月14日のこの日記で、「もうすぐ世界的なバブル崩壊が起こる。これは時間の問題である」と書いた。そして、昨年の8月18日の日記には、「恐慌は始まっている」というタイトルで、ハイパーインフレになることや、このサブプライムをきっかけにして過去に例のない速いスピードで、私達の生活に襲い掛かってくることを書いた。とにかく、恐慌は既に始まっているのだ。日本人はバブルを経験してきたにもかかわらず、現在でも平然としているような感じがしてならないのだが、どのぐらいの人がそう認識しているのであろうか。全てがダメになって錯乱する前に、今から心の準備が必要である。とにかく、今回の恐慌は我々庶民にまで波及するスピードが速い。気づけば、自分の勤めていた会社がいつの間にか倒産していた、いきなり、リストラを宣告された、などということにもなりかねない。そして、どのように対処していいのかわからず、錯乱状態へとなってしまう・・・・、そうなってしまってからでは遅いのであり、恐慌を乗り切り、新しい時代へと向かう準備が今から必要である。まだギリギリ間に合うはずである。
 私はマネーを持っていないから関係ないが、マネーを蓄えている人は、前述のとおり、マネーを逃がす場所がない。貯め込んでいても、ハイパーインフレになってしまえば、紙クズになってしまうのであり、そういう人は、今のうちにマネーを使うしかない。無駄に使うのではなく、いいお金の使い方をするしかないのである。新たな時代へ向かうために使うのである。自分が今までに挑戦していなかった職業技術、技能の習得にお金を使うなどすれば、この恐慌を乗り切って、次の時代へと向かうことができるかも知れない。
 とにかく、驚異的な速度で恐慌は我々の生活に襲い掛かる。恐慌に対する心構えができていない人はその後、錯乱するであろう。今回の外貨預金へのシフトチェンジ急増はいい例である。我々庶民は錯乱することなく、この恐慌を乗り越えて、新たな時代を生み出さなければならない。その準備を整えるのが今なのである。