掃除

 掃除ができない。片づけができない。いつか、デスクの上や部屋をいっぺんに綺麗にしてやろうと思っていながら、一向にできない。夏の頃は、今は暑いから秋になって涼しくなったらやってやろうと思いながら、もう既に秋。しかし一向に片付けができない。何日か、そういう整理整頓の時間を設けて行わないといけないのだが、それができない。否、本当は毎日しなければならないのだろう。
 掃除ができる人は仕事もできるというような意味のことを言っている人がいたが、その言葉、私は信じない。信じたくない。大半の大きな会社は掃除のおばちゃんに掃除をまかせているので、本当のところはわからないに違いない。小さな会社はそのような経費が出せないので、社員に掃除をやらす方便にしているのかも知れない。なんだかんだと言って、結局は心構えの問題ということになるのだろうが、掃除云々で、仕事のできるできないを判断されては、たまったものではない。仕事は、仕事。掃除は、掃除である。
 私が以前会社勤めをしていた頃、その会社では、朝九時が出社時間になっていたのだが、強制的に毎日八時半に出社を命じられて、社員は掃除をやらされていた。掃除の仕方について、毎日のようにその会社の役員は文句を言っていた。役員自身はあまり掃除をしない・・・・。三十分早出しても、その分の労働手当はなく、ただ働きだった。社員はみんな不貞腐れていた。掃除をすることによって、朝から会社の士気が下がってしまっていた。
 小さな会社の経営者は、掃除を社員にやらせて、掃除のできる社員は仕事もできる、朝に綺麗にするから、仕事の能率も上がるという人が多いが、私は反対だ。掃除は必ずしも仕事にプラスの影響を与えない。私はそう信じている。だから、私は今日も掃除をしない。