迎撃準備

 飛翔体が飛んでくる飛んでこないで、随分と騒いでいる。万が一ということもあり、騒いでいるわけだが、備えがあればなにも騒がなくてもいいわけだ。
 青森の富豪、羽柴氏は、迎撃用のミサイルを配備しているという。これはすごい。我が社も負けてはいられまい。しかし、予算がとれない我が社は、我が社なりに迎撃準備をするしか方法はない。とりあえず、迎撃用に昨年の夏の余りものであるロケット花火8本を配備。空き瓶にロケット花火を差し込んで、発射準備完了。発射情報が入れば、目視によって角度を決め、着火すれば、迎撃となる。
 北関東方面に約1名展開している別働隊には、竹槍を配備させる。竹槍は、最古のテクノロジーを結集した、我が社が誇る最強の武器である。これも目視によって、飛んでくる飛翔体めがけて「えいやっ」と槍投げの要領で投げて迎撃する。
 まずは北関東で迎撃し、それで駄目なら、横浜にて迎撃するという二段構えなのである。
 
 さて、ここからは、4日の私の動きである。

 4日午前10時頃、通常の業務を開始。
 0時15分頃、テレビ各局で飛翔体発射のニュースが流れる。通常業務を中断し、ロケット花火発射台にて、目視を始めると同時に、北関東の別働隊に、迎撃命令を発令。
 0時17分頃、飛翔体を発見。ロケット花火に点火し発射。発射するも当たらず。しかし、飛翔体はカラスだとわかる。誤探知。目視を継続。
 0時20分頃、発射自体が政府の誤探知との報道が入り、命令を解除。通常の業務に戻る。