難しいね

「いやあ、難しいね・・・・」と、ある会話の中で私が言ったら、
「難しいと言ったらダメ。そこで全てが終わってしまう。しっかり考えれば簡単なことなんだ」と言われて、私は愕然とした。
 思い返せば、私は何かに行き詰った時、それは、会話でも思考でも現状でも、どのような場面においてでも、「難しいね」という言葉を意外と多く発する。本当に多く。今まで、それに気が付かなかったのだ。確かに、難しいと発話した瞬間に、全てがそこで解決のない終結を迎えてしまう。うむむ、なんということであろうか。このような教えを授けてくれた人が今までにいなかったので、少し鳥肌が立って、よし、もう「難しい」とは言うまい、そう思って会話を続けていると、
「ほら、難しいと言った」「また、言った」「今度も言った」と言われてしまった。私はペロリと舌を出すしかなかったけれども、結局、「難しい」と発話する私は常に何かから逃避しているのだということが曖昧としながらもわかって、また愕然とするしかなかった。しかし私は、一体、何から逃避しているのだろう。思考すること? 煩悶すること? 痛嘆すること? 現状から? 世界から? 自分自身から??
 そんなことを考え、今日も閉店後にウィスキーをストレートで煽って、これを書いている私。結局、お酒も逃避ですかな? いやあ、難しいね・・・・・。