悲しい蕎麦

 今日は、昼過ぎから所用あって出掛けたのだが、途中、立ち食い蕎麦を食べることにした。もり蕎麦、三百円也。立ちながら食べていると、隣で二人連れのサラリーマンが、ぶつぶつと蕎麦の味について文句を言っている。私、意外と満足して食べていたのに、隣の文句を聞いていると、なんだか悲しくなる。三百円、なのだから、やはり値段なりの味だろう。文句言うのなら、もっといい蕎麦屋で食べなさいよ、と言いたいところだが、堪える。三百円で文句を言うのだから、悲しい。悲しい蕎麦になってしまった。まだ怒っていないだけマシだが、たまに、安いファミリーレストランなどで、どう見ても怒る場面でもないのに、店員に怒っている人がいる。そういう場面を見ると、それなら、もっときっちりとした高級店にでも行きなさいよ、と思う。特に、そういう人と同席していた場合、場がつまらなくなってしまう。威張りたいのか、何なのか。とにかく、了見が狭い人だなと思って、悲しくなってしまう。文句を言うにしろ、怒るにしろ、場をわきまえて、同席した人のことも考えて、せめて一人でいる時にでも、してもらえればと思う。ああ、悲しい。
 悲しみに打ちひしがれて電車に乗ったら、逆方向の電車に乗ってしまった。