古本屋相談

 たまに「自分も古本屋になりたいのだけど」という相談をされることがある。必ず私は「誰でもなれますよ」と言う。そう、古物商免許を取得して、売る本があれば誰でもできてしまうのだ。ここで、相談終了となれば話は早い。しかしながら、こうとも言う。「古本屋は儲かりません。現代において継続することが難しい職業のひとつです」と。実際、街の古本屋はどんどん店を閉めている。多くの仲間がこの仕事を辞めてしまった。理由は色々あり、ここでは省略するが、斜陽産業のひとつである。だから、これから古本屋になろうとする方は相当の覚悟が必要、否、野垂れ死にする覚悟が必要なのである。命を張らない人間はこの事業は継続できない。別に古本に限らずどんな事業でもこれで食べていこうと思えば同じである。命を張らない人間にその道の「プロ」と名乗って欲しくはない。「もう一度再考されたし」そう最後は言ってしまうのだ。
 このような事を書いたのは、同じ事を相談されて同じ事を回答するのも面倒になったからなのだ…。柄に似合わず、なんだか真面目な話になってしまった。ここらでお開き。