友人の反応について

 私の友人は現在大半が会社員であり、その為に、普段は会うに会えない。会えるとしたら、お盆休みや正月休みだけである。そのようなわけで、お盆に複数の友人に会った。久々に会うと、どうしても現在の職業に話題がいく。そこで私は、古本屋と言うわけであるが、これを聞いた友人の反応は、次のように区分される。

1. ただでさえ、本が読まれなくなっているのに、古本屋を生業にするとは、いかがなものか。しかも、漫画などの売れるものを置かないとは、おまえは変人だと蔑む人。
2. 自営業というだけで、儲かっていると勘違いをして、今日の酒代は奢ってくれという人。
3. 自分もやってみたいと言い、詳細を教えてくれと言う人。
4. 特に反応がない人。無関心な人。

 1について。これは、おっしゃる通りでございます。好きなジャンルの本しか置かないし、当店の置いてある本は売れ筋のものではございませんよ。グラビアとか漫画を置いた方が確かに売れる。お金が目的で古本屋を営業しているわけではありませんが、自分の生活があるわけで、生活できるだけの利益は確保しないといけないわけで、その辺にジレンマがあります。一刻も早く、最低限の生活ができるだけの売上を確保しなければ。それでも売れ筋を置かないのは、変人でございますよ。
 2について。大手を除いて、古本で大金持ちになった人などいませんです。はい。古本屋は儲かる商売ではございません。サラリーマンの方が儲かります。私もサラリーマン時代の方が儲かっていました。しかし、好きな事を仕事にするという充実度が違います。古本に囲まれて幸福です。金なんて無くても幸福です。だから、私に一杯奢ってくださいませ。
 3について。現状で普通に生活できているならば、やめた方がいいです。手間暇かかるわりに儲かりませんです。生活だってあぶない。私は、サラリーマンがどうしても自分には合わなくて、組織の中でどうしても生きていくことができなくて、本や文学や哲学と接していたくて、古本屋を始めたのです。本が本当に好きならば、始めてもいいでしょうが、ノウハウ等を人に教えてくれというのは、いかがなものでしょう。しかも私に訊いてもしょうがないですよ。成功者でもなんでもないんですもの。ヘタの横好きですから。
 4について。一番いい反応かも知れません。お互いジャンルの違う職に就いている人が仕事の話をしても噛み合わないことが多いのです。それよりも、酒を飲みながら馬鹿話をしていた方が絶対にいいのです。