新しい企業像

 たまに新聞の広告に、企業からの製品の回収とお詫びの広告が掲載されているが、自分には該当しないだろうと、ろくに読まずにいた。そして、今日、ふと見てみると、ハロゲンヒーターの回収の広告が掲載されていた。これから夏なのに、今頃ハロゲンヒーターなんてと思っていると、そこに掲載されている製品の絵が、自分の持っているヒーターにそっくりであった。おお、もしやこれは・・・・、と製品番号を確認すると、ドンピシャリ。たまにはこういうことがあるんだなあと、驚いて、やはり今後は新聞の広告もしっかり読まなければと思った。回収費用等、企業はかなりの負担になるのだろう。
 今、企業に対する一般消費者の目が非常に厳しくなっている。製品に欠陥があればあたりまえのことであるが、経済至上主義のツケ、好景気といいながら、一部の企業と上層部で利益を独占して、末端の労働者まで利益を分配しなかった事がさらに消費者の目を厳しくしているように感じる。それに、経費や価格、利益を優先して、製品そのものをおろそかにしていたせいでもあろう。最近話題になっている介護事業者の不正問題もしかりである。介護業界は、現場の労働は非常に重労働であるのにもかかわらず、給料が低い。利益は、ほとんど企業と企業の上層部が独占している状態である。給料が低いと、当然優秀な人材は集まらず、仕事のクオリティーが下がる。そういったあたりの批判もあるのだろう。介護は国の介護保険でまかなっており、介護保険法で定められている介護報酬の問題、介護制度そのものも検討しなければならない。
 企業の姿勢や理念というものが問われる時代となったことは間違いない。それは、対外的な部分に限定されず、従業員など内部への姿勢も問われることになる。従業員が満足して働けない企業は、お客様も満足していないと思わなければならない。雇用される側も、企業の理念を共有しなければならず、また、共有できる企業で働かなければ満足度は得られないであろう。
 もうすぐ、世界的なバブル崩壊が起こる。これは時間の問題である。そこで、異常なぐらい歪であった、経済至上主義が終わりを向かえ、新しい時代がやってくる。新しい時代の企業、新しい時代に生き残る企業とは、企業と従業員との単なる雇用契約ではなく、ひとつの理念共同体のような型の企業であろう。そして、その企業の理念に共鳴してくださった方が、顧客となるのであり、さらには、株主は利益の為に株を売買するのではなく、本当に企業の理念に共鳴し、実際に働くことはできないが、株という手段で協力しその企業を応援する、その為の株の購入という型になるのである。企業・従業員・顧客・株主、それぞれが同じ理念を共有した理念共同体、それこそが新しい時代の企業像なのである。