イタイおじさん
甥が遊びにやってきたので、デパートへ連れて行った。すると、いつの間にどこからか風船をもらってきた。それを見て無性に私も風船が欲しくなったので、風船を配っている場所を甥から聞き出し、ひとつもらってきたのだが、荷物があって、うまい具合に持つことが出来ない。ふむむ、と思案して背中に風船を挿すことにして、丁度、頭の上に風船が飛び出している具合にして歩いていたら、
「恥ずかしいから止めてくれ」と甥は言う。
うーむ、小学生の分際で羞恥心があるのかと思い、それでは片手を空けようと、私は持っていたUFOキャッチャーで甥が獲得した犬のぬいぐるみを、着ているオーバーのチャックを少し開いてそこへ突っ込んだ。丁度、胸から犬の顔が飛び出している状態である。そうして歩いていたら、今度は、
「馬鹿みたいだから止めてくれ」と甥は言う。
「おじさんはね、馬鹿みたいじゃあなくて、馬鹿なのだよ。わかるかい? 羞恥心を捨てないと、大きくなったら大物になれないぞ」と私は甥に言ったが、甥は、
「やっぱり、そのぬいぐるみは僕が持つ」と言って、私から犬のぬいぐるみをとりあげてしまった。
甥にとって、ぬいぐるみを普通に持って歩くこと自体恥ずかしいらしいのだが、それ以上にこのような私と一緒に歩くことの方が恥ずかしいのだ。甥にとって私はイタイおじさんなのかも知れない。
「恥ずかしいから止めてくれ」と甥は言う。
うーむ、小学生の分際で羞恥心があるのかと思い、それでは片手を空けようと、私は持っていたUFOキャッチャーで甥が獲得した犬のぬいぐるみを、着ているオーバーのチャックを少し開いてそこへ突っ込んだ。丁度、胸から犬の顔が飛び出している状態である。そうして歩いていたら、今度は、
「馬鹿みたいだから止めてくれ」と甥は言う。
「おじさんはね、馬鹿みたいじゃあなくて、馬鹿なのだよ。わかるかい? 羞恥心を捨てないと、大きくなったら大物になれないぞ」と私は甥に言ったが、甥は、
「やっぱり、そのぬいぐるみは僕が持つ」と言って、私から犬のぬいぐるみをとりあげてしまった。
甥にとって、ぬいぐるみを普通に持って歩くこと自体恥ずかしいらしいのだが、それ以上にこのような私と一緒に歩くことの方が恥ずかしいのだ。甥にとって私はイタイおじさんなのかも知れない。