いざ、鎌倉

 鎌倉のお客様より出張買取の依頼があった。鎌倉といえば、住みたい街として常に人気があり、多くの文士が住んでいる街である。いざ、鎌倉へ。
 私の車には、カーナビという贅沢品は装備されていない故に、地図をめくりながらの運転であるので、道が覚束い。信号待ちする間に、地図を見る。鎌倉界隈は、昔ながらの街であるので、少し奥へ入ると道が狭く、また、一方通行も多い。いつかは、カーナビを購入してやろうと思うのだが、まだ、当店にはその余裕がない。
 少し迷いながら、お客様の家に到着。民話の全集や、近代文学館から発行された復刻本全集などを買取る。鎌倉には、文士の街というだけに古本屋も多数あるそうだが、最近はこの手の本が売れないとの理由で買取ってくれなかったそうである。文学が売れないのはどこでも同じか。嫌なご時勢になったものである。
 そこのお客様は、聖書を原典から忠実に翻訳する作業をしているとのことで、聖書などをいただく。一度、聖書はじっくりと読んでみたいと思っていたので、これを契機に読んでみようと思う。どうも、ありがとうございます!
 そして、ご近所でも本を買取ってほしい方がいるとのことで、そこまでご親切に案内していただく。しかも、車までの本を運ぶ作業も手伝っていただいた。感謝、感謝。
 鎌倉は瀟洒な家が多くて、街を眺めているだけでとても気分がいい。住みたい街として人気があるのも頷ける。私も一度は鎌倉に住んでみたいと、叶わぬことを思ってしまった。