後輩から連絡が

 「しまさん、古本屋始めたんですか?」と後輩から連絡があった。どこかで噂を聞きつけたのか、たまたまサイトを見たのかはわからない。私が古本屋を始めた事は、知人・友人にはほとんど言っていないのだ。お付き合いで買われてしまうのが嫌なのだ。
「また、ヘンな事始めて。ほんと、おかしな人です」と後輩が言った。「また」という言葉で思い出したが、私は以前、大学院を修了してから、突如墓石清掃を始めた。理由は、旅立った先達への恩返しがしたいと思ってしまったからだ。この時も、この後輩は、「大学院まで出て、墓石清掃とは・・・・。おかしい人だ」と言っていた。結局、この時は、一年間で受注が3件しかこないで、商売にならなかった。
 以前の墓石清掃は、自分の範囲外だったように思うので、商売にならないのも、今から考えれば当然だ。しかし、今度は違う。自分が今まで勉強していた文学などと密接に関係がある古本。知識も多少なりとある。しかも自分が好きな本を扱うのだから、大丈夫だろう。そう思って始めたのだ。
 「ヘンな事をするのがしまさんの長所だから・・・」と心配気に、フォローのつもりか後輩が言った。
 ヘンと言われないように、これからしっかりと古本屋家業に精を出すしかない。