君へ

 君は僕の心配をいつもしてくれているね。なんだが申し訳がないよ。確かに古本屋はあまり儲かる商売じゃないし、君が心配をするのも当然だね。でもね、君も言ってくれたけど、古本屋の僕は活き活きしているだろう。僕にはそれで十分なんだ。君の心配もわかるけど、二月はね、月初より開催している「特集・西行の世界」(西行関係の本を集めて販売しているだけだけど)の本が意外とよく売れたし、他の本も結構売れたんだ。多分過去最高じゃないかと思うよ。まだ帳簿をつけていないから、正確な数字はわからないけどね。まあ、古本は一点ものだし、商売は波があるから、三月はどうなるかわからないけど、心配はご無用。君は自分の仕事に専念していてくれれば、僕にはそれが一番なんだ。
 君が誰にでも自慢できるような古本屋になれるよう、これからも頑張るよ。だから、君も、僕が君の事を誰にでも自慢できるよう頑張ってほしい。それでは、またね。

冬の冷たい風を古本に埋もれて凌ぎながら。