違う自分

出張買取本日一件也。出張買取を行うと本の運び出しなど重労働で大変なのだが、それなりの役得がある。それは、この仕事に携わっていなければ、絶対に行かないであろう街へ行けることである。街並みや建ち並ぶ家々、そこで商売をしている商店や商店街、それらを眺めていると、あたりまえのことなのだが、そこで生活をしている人々が居て、それぞれの生活があるのだと感慨にひたってしまう。そして、自分がもしこの街に住んでいたら、どのような生活をして、どのような仕事をしているのだろうかと想像してしまうのだ。下町であったら、商店街の一角で小料理屋の主人になっているのかも知れないし、新興住宅地であったのなら、小さなマイホームを建て、堅実に役所でも勤めながら、そこで若い奥さんと子供と普通の暮らしをしているのかも知れない・・・・。
今、ここにいない自分。もうひとりの自分。非日常への単純な憧憬であるのかも知れないが、知らない街へ出張する度に、そこには違う自分が住んでいるのだ。