時代の転換点

 英国のノーザン・ロックの取り付け騒ぎには驚いたが、一昔はペイオフだとかなんとか言いながら、英政府は全額保護の方針を打ち出した。資本主義のルールがあってないようなものである。これはひとつの兆しに過ぎず、これからいよいよ悪夢だった経済原理主義の時代が終わろうとしているのだと思う。今後、日本でも混乱は起きるだろうが、悪夢の時代を終わらせるためには、一時的な混乱は耐え忍ばなければならない。また、経済だけではなく、政治も大きな転換点を迎えている。こういった時代の変わり目は、直中に存在している人間にとっては、なかなか気づきにくいものである。しかしながら、敏感に察知し、時代の空気を読んで行動を起こさないと、混乱から抜け出すことすら難しくなってしまう。
 古書店のことについて言えば、マクロ的には、これから予測できる景気の悪化とハイパーインフレにどう対処するか。ミクロ的には、毎年本の消費部数が減少していること、古本の需要と供給のバランスの悪さ、それに伴う販売価格の著しい下落、紙媒体から電子媒体へと比重が移りつつあることなど、考えることが山ほどある。古本屋も暢気な商売ではなく、時代を考えた運営というものが必要になってくるのだと思う。