お風呂故障

 お風呂が壊れた。給湯されないのだ。すぐに水になってしまう。但し、追い炊きはできる。要するに、シャワーを浴びようとしても水しか浴びることができないのだ。とりあえず、湯船に水を張り、そして追い炊きでお湯にする。これを柄杓で掬ってジャブジャブと使う。実はもう一ヶ月以上も前からこの状態なのだ。
 風呂釜のメーカーに修理を依頼したが、修理人は、ちょっと風呂釜を見ただけで、「基盤の一部が壊れていますなあ。もうこの部品は生産されていないので、新しく風呂釜を買っていただくしかないですなあ」と悠長に言って、何もせずに帰ってしまった。壊れた風呂釜は買ってからまだ十年しか経過していない。十年という歳月が風呂釜にとって長いのか短いのかはわからないが、部品があれば直ぐにでも、しかもコストも安く直すことができるのに、もう生産されていないとは、なんとも悲しい限りだし、地球環境にもよくない。大量生産、大量消費、大量廃棄という現代の悪しき経済システムの象徴的なものなのだろう。
 後日、新しい風呂釜の見積書が送られてきたが、お値段が高く、いや、地球環境のために、本当は高いから、いや環境・・・・、ともかく、新しく買うのは控えた。我慢、忍耐、根性、これさえあれば、何でも乗りきれるのだ。
 そして、つい最近になって、蛇口をひねると、三回に一回の割合でシャワーからお湯が出るようになった。何も施していないのに。奇蹟。不思議。あと十年は使える。万歳三唱。