楽観ではない、前向き

 金融恐慌から世界恐慌、さらには生活恐慌へ、我々は大きな時代の曲がり角に直面している。二年近く前から、この場で私は、このような世界恐慌に陥ることなど、警告を発してきた。
 そして、今、このような時代状況に直面して、早期退職するか否か決断を下さなければならない、或いは、今いる会社の将来を考え、早く転職をしようか考える人など、今、まさに今後の人生における決断、自分の生命に係わる決断を迫られている人が多いと思う。
 いわゆる中産階級と呼ばれていた人々は、今まで、自分の生命に係わる大きな決断をしなければならないことがなかったのではないか。例えば、経済的なことに限ってだが、マイホームを購入するとなると、かなり大きな借金をしなければならない。それでも、今まで中産階級の人々は、マイホームを購入した。それは、明日も来年も三十年後も、自分の勤めている会社が、今日と同じように存続すると信じていたからであり、さらには、将来はもっと良くなるであろうと考えていたから、それが当たり前だったから、大きな借金をする決断ができたのである。また、職を選ばなければ、今の会社を追われても、なんとか再就職もできた時代だった。今日の世界が明日もある。今日より明日はもっといい。そのような考え方が中産階級を支配していた時代であり、そういう思考を担保にしたいた世界だったのだ。だからこそ、あのバブルを生んだのであろう。今となっては、世界の人々も、このような考え方だったのであり、今より少し前、世界は中産階級にとって安穏の時代だったのだ。だから、中産階級は自分の生命を、生きることを脅かされるような決断を迫られる、或いは生活を脅かされることがなかったのではないか。
 ところが、今となっては、有名大企業が数万人単位で人員削減をする時代である。今日ある世界が明日もあるとは限らない時代なのだ。明日はどうなるかわからない。これが今の時代なのだろう。人は、慣れていないこと、初めての経験には戸惑うものであり、今、決断を下さなければならない時期に、決断を下せない人が多いのはこの為ではないのか。
 私は2008年3月18日、今から約一年前の日記で、
「日本人はバブルを経験してきたにもかかわらず、現在でも平然としているような感じがしてならないのだが、どのぐらいの人がそう認識しているのであろうか。全てがダメになって錯乱する前に、今から心の準備が必要である。とにかく、今回の恐慌は我々庶民にまで波及するスピードが速い。気づけば、自分の勤めていた会社がいつの間にか倒産していた、いきなり、リストラを宣告された、などということにもなりかねない。そして、どのように対処していいのかわからず、錯乱状態へとなってしまう・・・・、そうなってしまってからでは遅いのであり、恐慌を乗り切り、新しい時代へと向かう準備が今から必要である。まだギリギリ間に合うはずである」
 と書いた。その頃から心の準備をしたいた、或いは具体的に次の時代への準備をしていた人は、今、戸惑うことなく着々と事にあたっていると思う。私も含めて、本当の意味での決断を下さなければならない時期にきている。
 (かく言う私も中産階級〔中の下だけどね〕なので、やはり自分の生命を賭けた決断をするのは、不慣れであり、辛く苦しい。ただ、こうなった以上は、決して楽観ではないけれど、前向きな感じで生きていくしかないね。「楽観ではない、前向き」これからの時代を生きていく必要なものだね)