古本即売会を覗いて

 昨日、横浜へ行ったら、偶然ダイヤモンド地下街で古書の即売会が開いていた。そういえば、しましまブックスを開業してから、ほとんど即売会や他の古本屋さんに行かなくなってしまった。学生の頃はアルバイトの給料が入る度に行っていたのに。どうも、自分の店の在庫で満足してしまって、即売会などには足を運ばなくなってしまったようだ。
 妙に懐かしくなって、即売会を覗いてみた。なんだか、本を探す時の胸のときめきが戻ってきた。そうだ、このときめき故に、私は古本屋によく足を運んだのだ。しかし、ときめきはするものの、いい本との出逢いはなし。自分の店の方がいい本はいっぱいあるぞ、と妙に自己満足しただけ。
 本を見ていると、中年のサラリーマン風の人が、即売会の係りの人に「この本、なんでこんなにするんだ? 俺は、他でもっと安く買ったぞ」と値段に対してクレームをつけていた。係りの人は「いや、ここの店の人、今日は来ていないので・・・」と対応するも、かなりお困りでご対応している様子。係りの人は、この即売会に参加している古本屋の人なのだろう。困るのも当たり前で、古本の価格に決まった価格などあるはずもなく、そこの店の価値判断で決めるもの。このサラリーマンのクレームは、古本をわかっていない人の発言であり、値段が高いと思えば、そこの店の人とフィーリングが合っていないのだから、黙って買わなければいいだけのこと。なにも、クレームをつけることはないのだ。クレームを言われても、店としても答えようがないではないか、「価値観の相違です」としか。しかしながら、今後の古本業界発展の為には、一部のマニア層だけ相手にしていればいいというものでもないし、そのような殿様商売でもいけない。そう思うと、古本はむずかしい。改めてそう感じた。