また営業電話が

 電話が鳴ったので、電話に出た。その電話の声の主は20代ぐらいの女性で、マンション一室を投機目的で買わないかというのである。自分では住まずに他人に貸して利益を得るという大作戦を説明するのである。それを聞いて私は次のように彼女に尋ねた。 まず、ローンを組んだとして、それに対する金利が発生する。そして、マンションなんてものは人が住んだ瞬間から中古になり、資産価値が下がる。それは年々下がってしまう。さらには、大家には修繕義務があり、それなりに維持費がかかる。ましてや、借主が出て行った時に造作物の買取請求でもされようものなら、また出費である。次の住人探しにも当然経費がかかる。また、なにがしかの保険にも加入しなければならない。以上を考えて投機目的で買えと言っているのか? その場合のシミュレーション、利益予測を計算して言っているのか? すると、彼女は返答に窮して、私の問いに答えることができなかったのである。
 あたりまえの事を答えられずによく他人に図々しくも営業できるものである。私みたいなケチな古本屋がマンションなど買えるはずがないではないか。人を選んで電話をするべきであるし、そもそも営業電話を突然かけてくること自体が無礼千万である。
 それにしても、質問に答えられないような電話一本で、マンションを買う人などいるのであろうか。