楽しくやろう古本屋 その2

 一年ぶりぐらいで、友人に会った。その友人は、「以前と比べて、君は活き活きとしているね」と言った。確かに会社員時代に比べ、古本屋をやっていて、楽しい。それは外見にも表れているということなのだろう。その友人に、現在私が古本屋を営業していることをはなし、しましまブックスの基本コンセプトとして、自分が楽しめることと同時にお客様も楽しめること、そして、自分の持っている個性と能力を活かすこと、それから文化の継承のお手伝いをすることがあると説明した。利潤の追求を第一義に掲げ、個々人の人間性や可能性の介在を許さない古い二十世紀型の企業ではなく、これこそが新しい二十一世紀型の企業であり、しましまブックスはそれを目指しているのだとつい雄弁になって語ってしまった。けれども、そう言ってから少し恥ずかしくなってしまった。前回でも書いたように、それには持続可能なことが条件であり、そこまで到達しなければならないのだ。
「一度歯車がまわり始めれば、その後はどんどん可能性が拡がって行くはずだよ」と友人は言った。古物商取得から一年が経ち、ようやく歯車がまわり始めたところだ。開業当時に比べ、楽しさが増幅したし、まだあまり自信はないのだが、持続できるのではないかという兆候も見られる。とにかく、経済的な損得だけの古い価値観でものを考えないこと、一日一日を楽しむということが大事なのだ。後は、いい循環になればいい。そこには、きっと無限の可能性が拡がっているのだ。