古本屋と同じ

 生まれてから一度も浮気をせずに、横浜ベイスターズのファンであり続けた私であるが、今年はシーズンの序盤から、ペナントレースが終わってしまったような感じである。それでも、ファンというものは簡単にやめられるわけではないのであり、未だにファンのまま、試合を見続けてしまうのである。逆に言えば、勝敗に拘泥していたら、おそらくファンなど長年していられないのであり、勝ち負けを超えたところ、例えば、吉村や古木、小池や内川などの若い選手の成長や活躍が見たくて、試合を見ているのである。いや、究極のところ、何があっても私は横浜ファンにしかなれないのである。
 これは、古本屋と酷似している。古本屋は労力のわりに利益が少ない商売なのであって、一般企業のような利潤の追求に拘泥していたら、古本屋など営業していられないのであり、利益を超越したところ、例えば、芥川賞受賞作が揃っただけで幸福に思い、本に接しているだけで幸福に思うこの心根があるからこそ、営業を続けて行くことができるのである。そして究極のところ、古本のファンであるからこそ、営業が続けられるのであり、何があっても私は古本屋にしかなれないのである。
 と、美辞麗句を並べてみたものの、やはり、横浜には優勝してほしいのであり、古本で人並みの収入を得たいのも事実なのである。換言すれば、勝利しなければならないのがプロ野球であり、販売しなければならないのが古本屋なのである。横浜ファンを続けるのも、古本屋を続けるのも、忍耐が必要なことは間違いあるまい。