会社の役割

 6月は株主総会が集中する時期である。昨今は米国流の「会社は株主のもの」という考え方が浸透してきている。ニュースを見ていたら、ある会社の株主総会に出席していた株主は、テレビのインタビューにこう答えていた。「会社は株主のものでしょ。社員は将棋の駒だよ」
 もっとも、投資をしている株主の立場になれば、少しでもリターンを欲するのは分からないではないが、しかし、株を買うというのは本来、利益の為に買うのではなく、その会社の成長を支えるということであり、それは、そこで働く社員を支えるということである。そして、会社の上層部は社員が働きやすいようにその環境づくりをすることが本来の責務であろう。だが、現在はそのような会社は数少ないのが現状である。
 私は利益ばかりを追求し、本来の目的を忘れてしまった会社組織に嫌気がさし、会社を飛び出した人間であり、その時思っていたことが、「会社は社員のものであり、お客様のものである」という会社がないのならば、自分でつくるしかない、そのように思っていたのである。現在、しましまブックスを開業して、未だに私一人が食べて行くのがやっとであり、人を雇用するなどとんでもない話なのだが、初心を忘れることなく、何十年後になるかはわからないが、「社員とお客様のための会社」をつくれるように今後とも努力して行きたい。