この人、何者だろう? その2

 駅から家まで歩いて帰る途中、ふと気づいた。先程から、2メートルぐらいの間隔を空けて、誰かが私の後ろをついてきている。振り向くと、女性だ。どこかで、見た顔。・・・・。・・・・。そういえば、同じ電車の中にいたような気がする。だが、知り合いではない。わざと、私が道路の向こう側へ横断すると、その女性も同じように横断する。また、私が逆側へ横断すると、女性も同じように横断して、私の後をついてくる。もう、夜も遅い時間なので、夜道が怖くて、私の後についてきているのかも知れない。そして、家の方向が同じだけなのだ。そう理解して、家まで私は歩いて、家の門を開くと、なんと、その後ろからついてきていた女性も、私の家の中へ入ろうとするではないか。
「なんですか!」と私が驚いて言うと、その女性は、
「あっ、いえ、間違えました!」と我に返ったような驚いた顔をして、そそくさとどこかへ行ってしまった。驚いたのは私の方なのに。
 一体、この女性、何者だったのだろう。電車から同じだったような気がするし。そして、目的は何だったのか? 単純に私を誰かと間違えたようにも思えない。謎だ。とにかく気持ちが悪い出来事だった。