師走

 いつの間にか師走である。師走という名称の由来については、師匠の僧がお経をあげるために、東西を走り回るほど忙しい月だからという説がある。しかし、しましまブックスは11月下旬はなかなかに忙しかったものの、師走に入ると暇になってしまった。私は師でも僧でもないのだが、せっかく12月師走なのだから、忙しく走り回りたい。家の中でじっとしていることなどできぬ。
 早速、家を飛び出して、近所を走ってみる。走っている途中で、Tとばったり会い、Tは、「何をしているの? ダイエットのためにジョキング? わたしも痩せなきゃなあ」と愚かなことを言う。走る=ダイエットという短絡的な発想が愚劣なり。しかも、太っていない奴に限って、「痩せなきゃ」などと戯言を言う。「バカ野郎。いまは何月だと思っているのだ。師走だ。だから走っているのだ。お前のような風情のわからない奴に係わりあっている暇はないのだ」と私は言って、その場を走って過ぎ去る。三十分ぐらい走って疲れてギブアップ。なにはともあれ、師走なのだ。