お見舞い

 知人が何か腸の病気らしく、入院してしまったのでお見舞いに行った。病室のベッドに寝ていた知人ではあるが、とても元気そうであり、病気をしているとは思えなかった。そして、知人は、「おもしろいものを見せてやろうか」と私に言った。何かと思っていると、突然、「であえ、であえ、曲者じゃ!」と叫び、その声と共に看護士が病室に駆け込んできたのである。そして、知人は「どうだ、すごいだろう。俺は殿様だ」と私に耳打ちし、看護士には、「すいません。間違えてしまったみたいです」と謝っていたのである。そう、この知人は、殿様を演出するために、わざわざナースコールを押して看護士を呼びつけていたのである。これが最初ではないらしく、知人は看護士にひどく怒られていた。このぐらいの元気があれば心配はいらないのだが、かなり迷惑な演出であるので、私からも知人には注意をしたのであった。