お祭り

 小学生の甥ふたりを連れてお祭りに行った。そういえば、私も子供の頃は夏の夜店はとても楽しかった思い出がある。甥たちもきっとそうなのであろう、随分とはしゃいでいる様子である。その姿を見ていると、私もなんだか気分が高揚してきて、我先にと夜店へと駆け込んでしまった。
 最初は、昔ながらの当たりくじである。一等が当たるはずがないとわかっていながらもはずれると悔しくなり、一回が二回、三回が四回とつい熱くなってくじを引き、いずれも最低のものを引いてしまった。散々たる結果である。それに比べて、下の甥は簡単に一回でそこそこの商品を当てて喜んでいた。くじ運とは恐ろしい。この甥は他にも以前、どこかのくじか福引かで小さな冷蔵庫を当てたりと、ずば抜けてくじ運が良いのである。今度、アメ玉でも与えて宝くじでも買いに行かせようと密かにそう思った。
 次は、恒例の金魚すくいである。私は以前、就職活動の時に、エントリーシートの特技か趣味の欄に金魚すくいと書いたことがある。実は、別に得意でも何でもなく、通常は英検何級とか、パソコンが得意であるとか書くようなのだが、人に自慢できるようなことが何ひとつなかったため、咄嗟にそう書いてしまったのである。そのおかげか、就職活動は散々たる結果であった。その思いを今ここに晴らすべきなのだ、そう意気込んで金魚をすくったものの、すぐに紙は水を吸収して切れてしまい、金魚は逃げてしまった。これも数回やるも金魚は一匹もすくえなかった。
 そうこうしているうちに、甥たちの手は、輪投げやら射的やらで獲得した賞品でいっぱいになり、それに比べて私はほとんど獲得した賞品がなかった。叔父の権威がガタ落ちのお祭りであった。