古本屋・古書店を知るために

古本屋・古書店について、もっと多くを知っていただくために、ここではその歴史について、そして未来への展望について少し触れてみたいと思います。ご購入や買取の際の参考になるかどうかはわかりませんが、少しでも知っていただければ幸いです。

 

古本屋・古書店の起源と歴史

時は遡り平安時代。藤原定信の元に経師の妻が古本を売りに来た、という記録が残っています。この経師が古本屋の起源と考えられています。経師は写字が終わった書籍を古本として販売していたということになります。そして時は流れ江戸時代。慶長年間・元和年間の頃、出版元が今でいう新刊の販売と古本の販売を行っていました。「物本屋(ものほんや)」「物之本屋(もののほんや)」と呼ばれていました。やがて、この呼称が「書林」と呼ばれるようになり、享保年間の頃には京都に200件弱あったと推定されています。大まかではありますが、そのような経過を辿り、現代まで古本屋・古書店は続いております。

 

 

 

 

 

現代の古本屋・古書店

現代でも店舗での販売や買取は脈々と続いていますが、現代では古本屋の慣習に拘らない大手チェーン店の展開やAmazonによる販売、大手オークションサイト、その他インターネットによる販売が展開されるようになり、古本屋・古書店も多様な形態に広がっています。また、古本の買取も、店舗での買取、出張買取宅配便を使った買取など広がりをみせています。

しかし、法律上、あくまでも個人が自分の持ち物をリサイクル目的でオークションサイトやAmazon、メルカリ等で販売することが許されており、(他から古物として買取をして販売する行為は、古物商許可証が必要)それがインターネットの普及によって広がったことが要因となり、販売数が増え供給過多になり、古本の相場が崩れております。それが要因のひとつとなり古本屋・古書店を圧迫し、買取の相場にも影響している事実があります。もちろん、昨今の活字離れや電子書籍の普及も要因の一つであり、年々古本屋・古書店の店舗数は日本全国で減少しています。

 

令和時代を迎えて、今後の展開

インターネットやテクノロジーが発達するに伴い、書籍も電子化が進むようになりました。もはや、情報は紙に印刷して保管するものではなく、サイバー空間やデータなどにその媒体を変えつつあります。紙としての書籍自体が不要になりつつあるのです。そのような中で年々、出版業界や新刊書店、そして古本屋・古書店は売り上げが減少しております。Amazon等のインターネット販売の躍進によって、マーケットでは読まれない書籍が溢れ供給過多となって古本の相場も下がる一方です。しかし、Amazonのような需要と供給のみで価格が決まる市場原理主義を超えて紙の書籍にしかない装幀の美しさや芸術的価値、電子化されない絶版になった書籍の史料的価値、書籍の文化的価値などを積極的に肯定して伝えて行く必要があるのです。それには、著者や出版社、新刊書店から始まり、本をお売りくださるお客様、購入してくださるお客様、皆さんのご協力が必要となるのです。

株式会社しましまブックスグループ 取締役会長 島原亮