古書店の役割

 最近、公共図書館の運営を某民間会社に委託したところ、自前の売れ残りの、何年前のラーメン屋ランキングの本だとか、 保存しておくには必要の無いような本を納入し、貴重な郷土史の資料などを廃棄してしまっているということが話題になった。はっきり言って怒りを覚える。 これは我が国の伝統や文化を破壊する行為である。別にラーメンランキングの本が悪いと言っているわけではない。

 当店は、本は人類の文化遺産だと考えている。特に我が国はその昔から写本や木版の本など多くの文化を遺してきた。現在も多くの良書が出版されている。無論、文化と言えるに耐えない本もある。 しかしながらそのような良書を、次の我が国や世界を担う世代に引き継ぐことこそ、当店の役割、古書店の役割だと考えている。我が国の文化、伝統を継承するお手伝いこそ当店、そして古書店の役割なのだ。

 その為に、当店では積極的に古本の買取り事業を行なっている。もちろん、当店は公共の団体ではなく、営利団体である。利益を出さないとスタッフや私の生活ができず、この事業を継続して行くことができない。公共の図書館とはそこが違う。 利益を出さねばいけないので、そこが大変に難しい。現段段階でギリギリの運営である。 一方、公共の図書館は利益を出さなくてもいいはずである。民間に委託してしまえば、当然それは営利団体であり、利益を追求するのは批判できない。予算等の関係で運営の難しさはあると思うが、もう一度考えてほしいのである。 我が国の文化や伝統を収集・保存して継承することこそが図書館の役割であり、一方我々古書店は文化と伝統の継承をお手伝いするのが役割だと考えている。当店は本当に努力してギリギリで運営しているのだから、公共図書館にも頑張ってほしいのである。