しましまブックス、コンタクトレンズを買いに行く

 二週間用のコンタクトレンズがとうとう切れてしまった。一箱に六枚入っており、約半年で使い切ったので、一枚あたり一ヶ月間使用したことになる。余計な出費は避けたいところだが、夜の車の運転などは、眼鏡よりもコンタクトレンズの方が明らかに見やすい。仕方なく、コンタクトレンズ屋へと行くと、最近は六ヶ月おきに眼科での検診が必要となるらしく、レンズ代のみならず、診察料まで払わなくてはならなくなってしまった。
 コンタクトレンズといっても様々なメーカーが様々な種類のレンズを発売しており、ふむむ、どのレンズにしようかと迷っていると、係りのおねえさんが、
「レンズはどのくらいの使用ですか」と尋ねてきたので、
「眼鏡と併用しとるで、たまにですたい」と私は答えた。
「前回、ご購入されてから、かなり経ちますけれど」
「たまにゃしか使わんので、一枚で一ヶ月以上使いますなあ」
「ダメじゃないですか!二週間用をそんなに長く使っては!」
 係りのおねえさんが急に怒り出してしまった。私はおろおろしながら、
「ふああ、たまにしか使わんので、延べの使用日数で数えれば、二週間以内ですたい」
「コンタクトレンズは開封後、二週間以内なんです!それじゃあ、一日何時間ぐらい装着してるんですか!」
「だいたい外に出る時に装着するでしょ、外に出ると、一杯呑んでいるうちに深夜になって、むかしはよく焼酎なんぞ呑んでいたもんだけど、最近はちょっとお洒落にスコッチなんて呑んだりしてね、ジンベースのお酒なんかも最近はうまいと思うようになりましたなあ、やっぱりゴードンよりもジュネバですなあ・・・・」
「そんなこと訊いてません!」
「失礼、失礼。それでね、酔って家に帰って、外すのも面倒じゃと思ってそのまま消灯・・・・・、ふーむ、二十時間以上ですたい」
「一日十六時間以内と決まっているんです!眼球に呼吸させないといけないんです!」
 また、おねえさんが怒り出してしまった。
「にゃるほど。呼吸ですかい。んじゃ、一度外して、水泳で例えるならば、息継ぎをさせて、そしてまた装着すれば万全ですな」
「ダメです!さっきも言ったように、一日に十六時間なんです!です!です!」

その後、なんとかコンタクトレンズを購入することができたが、いい歳をして私は散々にお説教されてしまったのだった。